20代後半脱サラ大学院日記

20代で会社を休職し、大学院に通う人の日記。ガジェットが好きです。

"筋の良い仮説を生む問題解決の「地図」と「武器」"を読了 若手ビジネスマンも読む価値がある良書

"筋の良い仮説を生む問題解決の「地図」と「武器」" (著:高松康平 氏)を読みました。

かなりわかりやすくビジネス課題解決手法の全貌がまとまっていて、感動を覚えるほどでした。

 

後述しますが、この本は初級者が読むことにこそ効果を発揮すると考えています。

 

 

 

前提 他の本との違いは?

これまで「仮説を立てる」という行為に対して使えるフレームワークの使い方や、考え方について分かりやすい解説を行った本は数多くありました。例えば、安宅和人さんの「イシューから始めよ」や、名和高司さんの「コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法」といった本がそれにあたると思います。

 

一方で、それを自分の業務で具体的にどのように使いこなせば良いのだろうか?という点で、これまでの本は「考え方」に終始してしまい、「腹落ちするが、その後のアクションへ移行できない」ような迷子の状態で放置されることが多々ありました。

 

その状態に陥ってしまうのは、もしかすると自分の業務がシニアが立てた仮説のレールの上で走っているからかもしれません。ジュニアと呼ばれる若手が仮説のオプションを示されず、シニアが決めた一つの仮説の上で業務を行うことは多々あります。そのような状況を打破するためには、自分なりに現状の理解や課題の整理を行なっておく必要があります。

 

"筋の良い仮説を生む問題解決の「地図」と「武器」"という本は、

現状の理解→課題発見→解決策立案

というステップに分けて、仮説の立て方や問題解決の技法をマッピングし、より業務に近い形で問題解決のプロセスの解説を提供してくれる、稀有な本です。

 

この本では特に、「都内に10店舗を出すオーダースーツショップ」という例題で現状理解〜解決策立案まで一気通貫して解説を行なっており、より具体的なアイデアが得られること間違いなしです。

 

 

現状の理解のためのヒント

この本には、現状理解のためのヒントもふんだんに散りばめられています。

他の本であればサラッと流されてしまいがちなMECE (ある事象を漏れなくダブりなく要素分解する方法)についても、この本であれば様々ない視点が提供されます。

例えば、「店舗ごとの売り上げ」「商品タイプごとの売り上げ」「顧客タイプごとの売り上げ」など。このように、「〜タイプ」と要約してしまうと確かに他の本にも書いてあったりするのですが、具体的な使い方は読者の想像力に任せてしまいがち。「都内に10店舗を出すオーダースーツショップ」という例題では、どのような視点が考えられるか?といった解説が豊富であり、より業務に即した「現状理解」「問題認識」のイメージが得られました。

 

正直、現状として自分が一人でこんなに多角的な見方をできるとは全然思えません。それは自分の経験不足という原因もありますし、自分の視野の狭さが原因でもあります。そういった弱点を補うためにチームで動くことの重要性を痛感しました。本に記載はありませんが、初めのうちは現状の理解についてもチームで動くべきだと思います。その際、チームとしての視点の多様性が問われるので、メンバー同士での価値観のオーバーラップは避けた方が良いかも知れません。

 

若手ビジネスマンは、この部分「現状の理解」の部分を読むだけでもかなり勉強になると思います。

この本は、どちらかというとセミ・シニア層をターゲットとしているようですが、若手にとってはシニア層の意図や「あるべき姿」をうかがい知るという用途でこの本を使うことができると思います。入社して何年かは、自分の仕事がビジネス全体のどの位置にあるのかわからない場合が多いと思いますが、「現状の理解」について知ればある程度自分の仕事の立ち位置について予想を働かせることができるようになるのではないでしょうか。

 

 

課題発見のためのヒント

 市場や顧客のニーズ、競合他社と自社の比較、バリューチェーンといった、売り上げの縮小につながる基本的な着眼点を提供された上で、読者は「オーダースーツ専門店の売り上げ回復」というテーマの例題に取り組むことになります。

 

まず一度着眼点や仮説設定のパターンを一覧的に説明し、そこから読者が例題に取り組むように促すこの本のスタイルは、まるで手取り足取り課題・仮説設定について教えられているようで、広く一般に受け入れられるものではないでしょうか。

 

特に、「原因仮説の7パターン」として出てくる、

  1. 市場に変化が起きているのでは?
  2. ターゲットセグメントに変化が起きているのでは?
  3. 顧客ニーズを満たせていないのでは?
  4. 顧客に自社商品・サービスの魅力を届けられていないのでは?
  5. 顧客価値を継続的に提供するバリューチェーンを構築できていないのでは?
  6. バリューチェーンを支える組織に問題はないか?
  7. 外部環境に大きな変化はないか?

という7つの項目について、それぞれに適したフレームワークの紹介にとどまらず、筋の良さそうな仮説を設定するために、仮説をどのように検証すれば良いかまで説明があり、自分の身の回りのビジネス課題を改善するためのヒントがふんだんにあります。

 

解決策の立案のためのヒント

重要な戦略論4つからアイデア出しまでの説明があります。特に勉強になったのは、アイデア出しの部分です。

ひとまず雑多なアイデアを出し、そこからアイデアを改装にマッピングし、さらに連想ゲームのような形で新たなアイデアを出してブラッシュアップすることーーーこれはビジネス以外の課題についても流用できるかなり汎用的で効果的な方法です。

 

 

終わりに

他の方がこの本について、「他の本は初級者用、この本は中級者用」という感想を述べてらっしゃいましたが、私はむしろこの本は初級者にこそ効果的であると感じています。

 

理由は3つあり、

  1. 概論的であり、この手のプロジェクトの全体の流れを掴めること
  2. 各手法をとっても過剰すぎない説明に終始していること
  3. 例題が充実しており、練習にちょうど良いこと

です。

 

それでいて読者が置いていかれるほど情報がパンパンに詰まっているわけではないことも、私にとって好印象です。

 

本の帯の大前研一氏のコメントにもあるように、「迷子にならないための地図を示している」ことで、この本があなたの問題解決に役立つでしょう。

 

 

しかし、マッキンゼー出身者に限らず、どのコンサルティング会社でも同じようなことが言われていますね。もしかするとこの辺のスキル・知識というのはすでにリベラル・アーツのような一般化されつつあるものなのかもしれません。